Miyaの書斎

読書や映画や使ったもの感想を中心にまったりモフモフ書く。

運動不足にみるポケモンGOと人々の動向に関する考察〜運動不足の人を行動に移させたものとは〜

はてな今週のお題「運動不足」—

最近の運動不足についてぼんやり思い浮かんだ点としては、ポケモンGOかなと思う。私は今はもうすっかりしなくなってしまったんだけど、これをしているシニアの人たちがすごく多い。理由はウォーキングのきっかけになるし、外で人と会話できるきっかけができるというのだ。
駅からかなり離れている家の近くのパン屋兼喫茶店には、ポケモンGOのゲーム内でいう「ジム(ゲームする人が多くチェックインしないとジムはたたない)」が立った。初めて画面を開いたときに、そんなところにジムがたっているのに驚いたけど、元からそこには近隣に住む退職したシニア世代の人たちが昼間集ってお茶したりするところだったから、それを聞くと自然であり当然な流れなのだなと思った。

以前からウォーキングしやすい工夫ツールはあった。万歩計とかあったし、フィーチャーフォンが主流の時から携帯に万歩計機能が搭載されているものは多かった。歩いた距離によって画面の中の景色が変わるとかなんとか。でもどれもポケモンGOほど積極的に多くの人々を行動させるまでには至らなかった。

なぜポケモンGOは人々を積極的に行動へ移させたか?

初めてポケモンGOを開いて、家の中に、仮想の画面上であっても出たポケモンをGETしたとき、まるで、お友だちが増えたような感じがした。

「「家に来てくれた」」

GETできたポケモンを画面の中ながらも、指でスライドさせて回転させると、360度から観察することができる。イラストやアニメではよくわからなかったポケモンの後ろ姿。タップするとこんな表情やしぐさをするのか!という発見、まったく同じ種類のポケモンをGETしても、たまに柄や色が違うものがいたりして、なかなか観察しがいがあった。(キミはアローラのナッシーのしっぽの先についている実にもとぼけた顔がついていることを知っているかい?)
まるで幼少期に自然のもの(虫や動物、草花などのはじめて出くわす未知のものや絵本で見かけたあんなもの、こんなもの)と出会ったときのようなワクワクした気分だ。

さらに、これまでの万歩計にちょっとプラスアルファしただけのは「〜km歩いたら〜がもらえる」的な達成に対してなにかちょこっとしたものがあるだけの話だったのに対し、ポケモンGOは外に点在するポケストップを回したり(道具やお題をくれたりする拠点みたいなもの)、家にじっとしてても出てくれないポケモンをGETしに出かけたりする必要がある。必要があるというか、先のとおりワクワクがあるから「「もっと他のポケモンをGETしてみたいな」」という気持ちになるのだ。

ポケモンをGETするにはポケモンボールというのが必要だ。これは外に点在しているポケストップへ行くことでもらえる。1〜3個だ。ポケストップで1回もらうとそのポケストップはしばらくアイテムを出してくれない。一定時間経たないと出してくれないのだ。それならそこからちょっと離れたところにあるポケストップへ道すがら行った方が早いし、その道すがらポケモンと出くわしたりするから、じっとしているより歩いたほうがいいとうわけなのだ。

しばらくプレイしていると、ポケモンGOはプレイヤーがしょっちゅういるところや、プレイの初めと終わりがいつも同じ場所を「プレイヤーの家だ」と認識する。そうすると家でポケモンGOを開いても、外でポケモンGOを開いた時ほどはポケモンがガサッと複数現れるなんてことはないし、現れる時間もどんどん間隔が広がっていく。

ポケモンGO「外に出ようぜ」

ということなのだ。

この家と判定するアルゴリズム(プログラム)を気持ち悪いと思う人もいるかもしれないし、今この文章を読んで「「「そう言われてみればはじめたばかりは家にもたくさんポケモンが出たのにいつの間にか出なくなった!そういうことだったのかーー!!!おそろしっ!!」」」ってなった人もいるかもしれない。でもまぁ、落ち着きたまえよ。なにもこういった機能はポケモンGOだけじゃない。Google NowやiPhoneだって、ここは持ち主の家だぜ、そしてここが持ち主の会社・学校なんだなと認識するアルゴリズムがある。これらはオフすることもできるけど。ポケモンGOはこの家を特定する機能があるからといって、その情報を他者へ売ったり共有したりゲーム以外のなにかにつかったりしないと一応規約の中にはあったと思う。(いやわからない、気になった人はポケモンGOの規約を今一度確かめるといい。)

ちょっと脱線したけど、そんなわけで、ポケモンGOはプレイヤーを外へ連れ出すことを常に念頭に置いた作りになっている。

これまで“ゲーム”とは家の中でこもってするもので、ゲーム好きなんていうのは家の中に引きこもってて、ゲーム好きな今時の子は外で遊ばないわーなんて言葉もあったくらいのお決まりだったけど、そのゲーム界の概念を覆した。

“ゲームをするために外に出る・クリアするために外に出る必要がある”

かつてこうしたゲームがあっただろうか、いやあっただろう、ポケモンGOのシステムの先駆けである「Ingress(イングレス)」というのがある。リアル世界と端末の中の仮想世界を重ね合わせることでできる陣地取りゲームだ。ポケモンGOポケストップやジムといった外に点在する拠点は、このイングレスのプレイヤーが設置したデータ流用してつくられたものだ。

“リアル世界と仮想世界を重ね合わせて町中を舞台にプレイできるゲーム”と聞くだけでワクワク感はあるが、ゲーム好きでなければ行動へ促すまでには少し弱かった。

そこに「ポケモン」というブランドが投入された。ポケモンは広い世代に男女問わず一般的に知られているキャラクターだ。アニメを見たことない人だって、「ポケモン」に「ピカチュウ」がいて男の子と冒険する話だなくらいは知っている。そして子供のときに夕方にポケモンのアニメを見た人もたくさんいる。主人公の男の子サトシは自分の町マサラタウンにさよならバイバイをして、第1話でさっそく衝突するモンスターであり、なんやかんやありながらも第一話にしてもう相棒になったピカチュウと旅に出て「必ずポケモンマスターに絶対なってやる!」という目標を胸に旅立つわけである。胸熱である。

第一話の駆け出しからこれはよくできたストーリーである。ここですでに視聴者の胸を鷲掴みにする。ピカチュウは最初反抗的で、サトシとは分かり合えない感じの展開を見せられ視聴者はハラハラする。どうなるのか!?でもそこをサトシの優しい気持ち、思いやる気持ちのハートフル展開でピカチュウを理解しようとし、ピカチュウも次第に心を開き、仲間=相棒となって一緒に旅に出るとなるところまでが1話だ。グダグダしてるアニメだとこの話に何話も費やすところだが、こんな胸熱で完結な話が第1話で、そしてさぁ旅立つぞという次の展開、次へ進む道が見えた—来週の第2話が気にならずにいられようか?そしてサトシは果たしてポケモンマスターとやらになれるのか!?いろんなモンスターたちも出てくるみたいだ—しかも、かわいいし、かっこいい。

キャラクターデザインに関する利点について語るのは割愛しようと思ったけど、完結に述べると丸で元に構成されているこれは、ミッキーマウスハローキティ、くまもんといった人気キャラの特徴の原則が盛り込まれている。似ているモンスター系のゲームやアニメでも、ポケモンほどは人気にならないのは、こうした長期に人気を獲得するキャラクターデザインの原則(色彩設計等もある)からは少し外れている点を持ち合わせているのもあるかもしれない。

初代のポケモンのアニメがはじまった当初、サトシがここまでポケモンマスターにならずに(なれずに?)世界各地を旅をし、アニメ(もともとはゲーム)がここまで長期化—もといいシリーズ化すると誰が思っただろうか?どこか既視感のある感覚—そう『名探偵コナン』にも似た引っ張りようだ。『ONE PIECE』と言う人もいるかもしれない。
あんなに凛々しかった勇敢な顔のサトシが、いまやちょっと間の抜けた顔になるとは誰も思わなかっただろう。悲しい。
しかしながらこうしたロングランのおかげで、世代を超えて認知される“ブランド”まで成長を遂げ、世界中で人気になり、ついには株式会社ポケモンという会社まで設立されてしまうに至ったわけだ。

お気に入りのピカチュウのイラスト

ポケモンに登場するすべてのポケモンを知らなくても、または一切知らなくても、「みんなが知っている」「みんながやっている」という安心感と、虫を追いかけて網でGETしたあの懐かしいワクワク、そしてポケモンGOの「外に出ようぜ」の仕組みにより、人々はふらりと外で出かけるのである。

もっとわかりやすい話を社会人レベルで実例としていうと「ゲームには普段興味ないけれど、取引先の社長が孫がプレイしているからっていうのでやってたりするから、自分たちも話題になっているこれをやっとくんですよ。」だ。孫がやっているからという理由ではなく、ただその人が好きでしている場合だってある。話題になってるのをしといて、商談の冒頭で挨拶がてらに「やってる?」と話を振られた時に「ええ、まぁ。なかなか楽しいですよね。」と返答して「そうなんだ、なかなかレベル5のがGETできなくてねー、もうGETできた?」と話をされてもスムーズにできるようにしておくってわけなのだ。これは実際に営業部長が話していた話だ。

シニア世代はウォーキングと交流を楽しくするきっかけにしていて、バリバリ働いている世代はゲームに興味なくても流行っているからしておく、ゲームに興味ある層は「こういうのを待っていたんだよ、リアルとの融合!」というのでやって、そして最近、今年、高校生になってようやくスマホを持たせてもらえた・以前より自由に使えるようになった世代が参入してきた。
Twitterで「ポケモンGOはじめたばかりでよくわからない>< けど楽しい(笑)」みたいな高校生を見かけないだろうか?

ポケモンGOから離脱した人たちはどこへ行くのか?

ポケモンGOの熱はリリース時から一旦下がって、去年2018年6、7月頃に盛り返し、リリース時のアクティブユーザー数を超えた。

しかし冬になると外で立ち止まってスマホを取り出し、かじかみそうになりながらプレイするなんていうことをしているより、さっさと家に帰りたいとなって、しなくなった人が増えた。私もその1人だ。

暖かくなったからまたやろうかなと思っても、やはり一度ポケモンGOをしないで外出・帰路を体験すると、プレイしないでぼーっとしながら外の景色を見ながら歩く良さや、外を歩く時にもスマホをちょくちょく見ることで目が悪くなっていく間隔があったことや、ほんのちょっと立ち止まる時間—だけでなく帰ってきていっぱいになったポケモンボックスを整理したり、ポケモンを思わず観察してしまったり、どのようにお題をクリアするか、イベントに参加しつつプラベートな用事もうまく合理的に済ますかスケジュールを考える時間—といったものが、なかなかかなり時間を取っていることに気づくと、そこから“解放”された感がなくなくて、この心地良さも大事と思うと、ポケモンGOには復帰せずに他のことに集中してみようかなとなるわけなのだった。

そんな人も多いのではないだろうか?冬を境にしなくなり、春になったけどまぁいいかなと。

いましている世代はシニア、30代のゲーム好きやポケモンGOによって知り合いが増えたり社会とつながりが持てた人や増えた人、そして今年高校に入学してスマホを自由に使えるようになってようやくポケモンGOTwitterInstagramに本格的にデビューできた世代だ。

年齢層になかなかの開き—飛び飛びがあるが、孫と触れ合っているような光景をTwitter上ではまだまだとても盛り上がって散見される。
“交流”というおもしろさや喜びがあるだろう。

一方で、人は新しい体験をするのが好きだ。ポケモンGOはたまに気が向いたら開くか、もしくは一切やめた人たちは、また新しいなにかを見つけたことだろう。

特に最近は既存のサービスでも発展や新機能の追加が早い。新しいサービスのリリースもあれば、ネット上で新しい趣味の分野(例えばハーバリウムとか)を目の当たりにして、それに夢中になることだってあるだろう。Instagramは去年の今頃IGTVという長時間動画が投稿できる姉妹アプリをリリースさせたし、芸能人を追いかける人にとっても最近は本当にいろんなことがあって気が気じゃないだろう。一般人が発信する機会が増えたから、その分コンテンツの量も膨大に増えた。
はたまた、そういった他者の何かへ目を向けるのはやめて、目の前の自分の世界、自分のリビング、自分の部屋、自分のリアルの限られた友達や家族とだけの素朴なやりとりだけを楽しんだり、断捨離したりシンプルライフをする方へ目を向けた人もいるだろう。

ポケモンGOによってあまり体を動かしてなかった人が、それまで以上に体を動かしたという現象は間違いなく起こった事だろう。そしてポケモンGOから離れた人たちは今またやや運動不足感を感じつつ、体を動かしたいなと思いつつ、ランニングでもはじめようかなと思いつつ、けれども寒くなってきたから風邪ひいちゃいけないしなとか脳内でふんわり思っりしつつして過ごす、今日この頃だろう。あ、そうだ栗の美味しい季節だな。栗ご飯にしようかな—みたいな。

 

きのうは、台風一過によって夏日で、日中は暑くて(エアコン入れるほどじゃなかったけど)、これは体を動かしやすいなとか思ってたのに、今日は8度も下がって、一気に冬めいてきた感じだから、もうこのまま冬ごもりですねと思いつつ、家の中でなにか体動かせたらいいよねと思いつつ、ここら辺で一旦この記事をとじます。

 

次回は「ジムに通ってみた」の話

 

を書くかもしれない(笑)