今週のお題
「わたしの好きな歌」は『Fly Me To The Moon』だ
中でもフランク・シナトラが歌っているバージョンが好きだ。
とってもオシャレでノリもよい。
Frank Sinatra Fly Me To The Moon
エヴェの曲ってだけじゃない
この曲はアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディング曲で使われてから、日本で、特に若い世代にも有名になった。
でも、私はそれより前に、この曲を知っていて大好きだった。
他の同世代の人にも「その曲知ってる!イイよね!」と言ってもらえるようになった喜びと共に、「ああ、エヴェの曲でしょ」と言われる、寂しさにも似た複雑な気持ちがその時からやってきた。
今でいうところの「TikTokの曲って言われるのヤダ」っていうのと同じだ。
私は『Fly Me To The Moon』好きだからエヴェのED版も、エヴェのアルバムに入っている綾波レイ版の2パターンなどのキャラ版も高橋洋子版もInstrumental版も持っている。
エヴェの曲とだけしか知らない人には、他のバージョンも知ってほしい。聴いてほしい。できたら好きになってほしい。
海外でも日本人がこの曲を知っているのはエヴェで使われたからという認識が高い。
イタリアの旅行先での衝撃
ヴェネチアのサンマルコ広場の演奏付きのカフェでケーキを食べていた時、チラリと私の方を見た演奏家たちが次に弾いたのがこの曲だった。
とても嬉しかったし感動した。
いつか欧米へ海外旅行へ行く時に『Holiday in Acapulco』と『Fly Me To The Moon』を聴くのが夢というか—そういうことを幼少期からよく妄想して過ごしていた。
このイタリア旅行は初めての海外旅行で、スマホにMP3より音質がいいWAV形式のを入れた。イタリアへ行く途中の飛行機から月が見えた時、さっそくおもむろに取り出してイヤフォンをつけて、聞いてみた。この景色をリアルに見ながらのBGMが『Holiday in Acapulco』と『Fly Me To The Moon』である瞬間の、思ってもみなかったほどの感動といったらなかった。目がじわじわと、とっても満潮を迎えるから、他の人には気づかれないように、尚一層、窓の外を眺めた。
妄想していたことが現実になっている瞬間と、景色の綺麗さ、音楽の素敵な世界観と、そのマッチ具合に衝撃を受けた。
そして着いた先のイタリアの、最後の旅程のヴェネチアで偶然にも、そんなおもてなしがあったのだ。
その演奏家たちが即興でアレンジしたバージョンが素晴らしくて、帰ってから同カフェの演奏家たちが演奏している様子を旅行客が撮影した動画を検索して探し回ったけど、見つからなかった。演奏している人も違うし、少し近いのはあったけど、その聞いたのが一番よかったんだ。
どこで『Fly Me To The Moon』と出会ったのか
私は音楽は小さい頃に初めて買ってもらった「こどものためのクラシック」というCDと、母が独身の頃に買い集めた松任谷由実(荒井由実)のCDとがはじまりで、流行りのJ-POPもそこそこに、クラシックからジャズへと視聴先を広げていく流れで、エヴェが放送される前、中学生になる前から『Fly Me To The Moon』や『Can't Take My Eyes Off You』などを好んで聴いていた。
『Fly Me To The Moon』にはアレンジがたくさんある
『Fly Me To The Moon』の歴史は古く、元々の原曲は別の曲にも聞こえるようなもので、それがカバーにカバーを重ねて歌い継がれて、今のみんながよく知っているアレンジになったのだ。
冒頭の詩の部分があるしっとりした感じに歌い上げるバージョンもあれば、冒頭の詩の部分はなく、テンポよくリズミカルに歌うバージョンもある。
ジャズなのだから、細かいアレンジや、演奏途中の遊びも、演奏ごとやその日の気分で変えるのも自由だ。
Julie London - Fly Me To The Moon
このジュリー・ロンドンの歌う前奏が印象的なバージョンは、日本の航空会社ANAのCM「夢見るヒコーキ。ANA/あこがれのJAZZ CLUB」篇でGeila Zilkhaがカバーして使用された。
『Fly Me To The Moon』の世界観にぴったりなこのCMをみて心躍らせた。
ANA TV CM - Fly Me To The Moon - Geila Zilkha
歌詞の全体を通した意味合いは「Fly Me to the Moon=私を月に連れて行って」「In Other Words I love You =つまり好きってこと」
日本では夏目漱石が英語教師をしていた時に、「I love You」を「日本人は、我君を愛すなんて直接的なことは言わない。月が綺麗ですねとでも訳しておけ」と言ったエピソードが今でもTwitterなどでネタとして使われるが、
月を引用して恋心を表したくなる気持ちは、人の共通の感情なのかもしれない。